私たち人類は長い間、目に見えるものに価値が集まる時代を過ごしてきました。建築や土木では、眼前にそびえ立つ建造物などが代表的な例です。しかし、近年は「見える化」という言葉に代表されるように、見えないものを可視化する技術に注目が集まっています。
私たちの主要な業務のひとつに、埋設プレファブ二重管の工事があります。地面の下に空調用の配管を通す作業ですが、たいていは既存の構造物や配管がすでに存在するため、それらを避けて配管を通さなければなりません。これまでの経験をもとに、目に見えない土の中の状況を把握し、最善の計画を立てて施工しています。これはまだ、最先端の技術でも実現できないこと。また、ニッチな領域ということから、今後も人の経験による「見える化」が求められている業務です。
人類は誕生時より「快適なくらし」を目指してきました。それは、持続可能な都市づくりやスマートシティが叫ばれる昨今でも、変わらず私たちが取り組んでいる普遍のテーマです。株式会社言長は、これからも配管と防水という領域から、「人の営みの快適さ」に貢献していきます。
株式会社言長の社員は、いつも初めての現場で出会う人たちから同じ質問を受けています。「言長ってどう読むの?」という問いに「ことひさです」と答える。最初は、「また同じことを聞かれそうだ」と身構えますが、話した相手から「珍しいね」「おもしろいね」と言われる度に、むしろおもしろい読み方で良かったと思えてくるのです。
プラントや建築の現場では、一度、会話をしたかどうかは、その後の仕事のスムーズさに直結します。これから短中期で仕事をともにする仲間ですから、話すきっかけは何でも良い。社名がその一助になるのは、願ったり叶ったりです。社名の由来は、社員に会うことがあれば、ぜひ、聞いてやってください。創業者の干支に端を発しています。
株式会社言長は、ご覧のとおり、中小企業です。しかし、誰もが知る首都圏のビルや施設、自衛隊や米軍の基地など、さまざまな現場で施工の実績があります。その理由は、私たちが日本で数社しかない埋設プレファブ二重管を施工できる会社だから。加えてメーカー機能を含めたワンストップの工事請負体制は、他に類を見ないものです。その技術力の源泉にあるのは、顧客から社内まで、常にコミュニケーションを密に取ってきたこと、社会や顧客に必要な技術を真摯に追い求めてきた結果です。
私は2022年に代表取締役に就任しました。以降、よく「どんな会社にしたいですか?」と聞かれます。おそらく質問される方は、経済誌に載るような立派な答えを期待されていると思いますが、私は「わいわい賑やかな会社にしたいですね」と真顔で答えています。
オンリーワンの技術と体制は既にある。天狗にならないモラル形成にも気を配っている。その環境があるなら、中小企業に最も大切なものは「活気」です。技術力を持つ他社と同じく、私たちも若手への技術継承や人材不足解消が当面の課題。「わいわい賑やか」という表現には、高齢化が進む中小企業が切実に若返りを求めている素直な気持ちを表しました。この問題を解決し、未来のくらしをより快適にしていくことが現・代表取締役の私の使命です。
株式会社言長
代表取締役 佐々木 元夫